製品ができるまで
生の魚の皮がレザーになり革製品に生まれ変わるまで、大まかな工程ごとにお伝えします。
魚屋さんなどから廃棄される皮を頂きます。魚の皮は刺身などに加工する際に廃棄されしまうものです。普段目にしない部分ですが、皮を含め頭や内臓などの魚の廃棄部分は年間66万トンにもなります。
脂身が酸化すると生臭さの原因となるため、皮についた身や脂を削ぎ落とします。
この作業は魚の生臭さを取り除くためにとても重要なため、丁寧に一枚一枚作業していきます。
そのため一番大変な作業でもあります。
水分が多く含まれる皮はすぐに腐ってしまいます。そのため脂身を削ぎ落とした皮に塩をまぶし、塩漬けにして乾燥保存します。旬によって魚種や厚みの違う皮を選別・保存することで均一な仕上がりを目指します。
乾燥保存していた皮にはまだ脂分残っているため、脱脂漂白用の液に浸けてさらに脂分を徹底して除去し、同時に汚れや色を漂白していきます。
2週間ほど作業を繰り返すと、次第に魚の生臭さは感じられなくなります。
植物成分のタンニンを魚の皮に浸透させレザーへと加工します。
お茶などに含まれる渋味の成分タンニンを溶かしたタンニン液に皮を浸け、2週間この工程を経ることで丈夫でしなやかなフィッシュレザーに仕上がります。
出来上がったフィッシュレザーをこだわりの色へ染め上げ、製品へと加工していきます。
フィッシュレザーの厚みを均一にするため漉き加工(裏面を薄く削る)をし、製品ごとのサイズに裁断していきます。適切な厚みやサイズに加工するために集中しながら丁寧に作業を行います。
フィッシュレザーを1針1針丁寧に縫い合わせます。縫い幅や曲線など失敗すると修正できない部分があるため、とても緊張する作業です。
最後に縫い合わせた後の切り口「コバ」を磨いて塗装を繰り返し行い、使いやすさと美しさにこだわります。鱗模様の違うフィッシュレザーにより、まさにオンリーワンの仕上がりとなります。